体たらく日記

呑、喰、旅。世のため人のためにならない体たらくの日記。

千葉 蘇我 炭火焼「山ちゃん」 引き算の美学

引き算の美学を学びに、午後休をとってやまちゃんへ。

濃くて甘い黒ホッピーを呑みながらホワイトボードのメニューを眺める。やまちゃんはやり過ぎない。その日のうちにヤマになる量を仕入れ、素材の旨味を引き出す最低限の仕事を施す。自分が喰いたい順、ヤマになる順を見極めて注文を組み立てる作業が楽しい。

鯵のたたき。ちょうどいい量の薬味を纏った鯵の身の輝きが美しい。余計な事はしない引き算の美学。強烈に美味い。

そして、やまちゃんと言えば炭火焼だ。鰹のたたきはじっくり炭火で火入れして旨味を圧縮。鯖は余分な脂を落とす引き算の仕事。見ているだけでホッピーが空いた。

鰹のたたき。かなり強めの火入れだけど、パサつかないのは炭火ならでは。コレは生姜醤油よりも塩が合う。超強烈に美味い。

鯖塩焼き。世界よ見よ!こういうのが美味いんだよ。日本で獲れた魚でしかこの味は出せない。超強烈に美味い。

なんこつ。開店前に行ったので、串物はフルラインナップ。開店30分で売り切れるので躊躇無く注文。余計な脂が引き算されて旨味だけが残っている。超強烈に美味い。

がつ、たん、あぶら。一口喰って衝撃が走った。炭火で痩せた身に旨味が詰まりまくっている。特にがつとあぶらは今まで喰ってきたものと全く別次元のクリアな旨味。猛烈に美味い。

厚揚げ。入念に油を抜いてから焼く引き算の仕事。炭火で焼くと美味さ5割増し。強烈に美味い。

蒸し鶏。蒸しも引き算の仕事。衝撃だったのは、調味料で誤魔化さない玉子と玉ねぎの味を最大限活かしたタルタル。凄い仕事だ。猛烈に美味い。

カンパチ刺し。美味いものは凛として美しい。強烈に美味い。

白いか刺し。肝が主役で身は脇役。超強烈に美味い。

肝に合わせるのは菊水ふなぐち。肝効果で甘く感じる。強烈に美味い。

重ネ。もつの完璧な下処理は引き算の仕事、味を重ネる仕事は足し算を超えて掛け算になっている。猛烈に美味い。

〆て2人で、8.9千円。引き算の仕事は神々しさえ感じた。他方、今日は昼メシを2回喰ったというのに、フルスイングの足し算の呑み喰いをしたオレも神々しかった。