浅草の老舗で寿司を喰う、20年来の夢だった。簡単に実現できそうだけど、それなりに歳を重ねないと難しかった。浅草は、浅草寺の表と裏で街の表情が変わる。観光客でごった返している表に対し、静かで落ち着いた雰囲気の裏、通称、観音裏。この界隈にあるのは、ガキを寄せ付けない大人の店ばかり。
いつも通りハイボールから。お通しの卵黄味噌漬けの美味さに度肝を抜かされる。
お通しの2品目は、畳鰯。呑んべいの琴線に触れ、甕雫のロックで合わせる。
つけ台にさりげなく置かれたガリ、谷中生姜、壺漬け。センスが良い。
刺し盛り。カワハギ肝付き、煮トコブシ、鯵炙りポン酢、〆鯖、鮃の身とエンガワ、青柳の炙り、茹で蛸梅肉ソース乗せの盛り。どれも江戸前の仕事。全部猛烈だが、鯵炙りポン酢は超猛烈。
猛烈な刺し盛りには、七賢の生酒で合わせる。
玉。連れの好物。
本鮪赤身の漬け。オレの好物。
店の雰囲気は、緩くも無く堅苦しくも無く、ちょうど良い。
握りの大きさも、ちょうど良い。
ツメの甘さも、ちょうど良い。
接客も付かず離れずで、ちょうど良い。
車海老は、踊り(生)かボイルかを選べ、連れは踊りで。
オレはボイルで。
何もかもが、ちょうど良い。
玉はもう要らないけど。
葱鮪汁は、見た目も味も完璧。超猛烈。
粋だな。
〆て2人で、3.3万円。予想よりちょっと高めだけど、刺し盛りが猛烈に美味かったので大満足。