2006年8月、体たらく男2人はチベットを旅した。世界中、どこに行っても直ぐに呑みだすおっさん2人にとって、チベットは辛い国だった。
ネパールの首都カトマンズからチベットのラサ(拉薩)に入る。【機中の日記】
ラサは海抜3,650mの高地にあるため、空が低く見えると言われると、そんな気もする。
酸素濃度は、海抜ゼロ地点と比べ3分の2。少し歩いただけで息が切れる。酸素が足りない。高度順応のため、やるべき事は、深呼吸、ゆっくり散歩、水を大量に飲む(3L/日)。やってはいけない事は、酒、タバコ、昼寝、激しい運動。体たらくにとって酒と昼寝がNGというのが何より辛らい。ラサの街に着いて早々、水をガブガブ飲みながら散歩を始める。
夜飯は麺のみ。順応するまでは無理しない。ツレは頭痛に悩まされている。軽い高山病のようだ。頭が痛い時は寝てしまいたいところだが、寝ると呼吸が弱まり酸素摂取量も減るので、かえって逆効果になってしまう。厄介だ。
ラサ2日目。
観光開始。ラサのシンボル、ポタラ宮。
ポタラ宮の頂上から街を見降ろす。乾いた土地だ。
ポタラ宮を観た後も高度順応を意識しながらゆっくり観光する。
夜は民族舞踊を楽しめるレストランへ。食欲は出できたので呑みたいところだが、ガイド氏の助言によりまだ酒はNG。
ラサ3日目。
だいぶ順応したようだ。今日も朝から観光。チベット人の信仰の厚さを感じる。どうみても漢民族とは全く違うルーツ、文化のチベットを併合したのは無理がある。
夜。ようやく酒解禁の時が来た。体は呑んでも大丈夫と言っている。酒を求めアテも無く街を彷徨い山城という中華料理屋を見つける。
席に着くなり「Beer!」と叫ぶ。ラサビールが出て来る。三日ぶりのビールは強烈に美味い。
肉ニラ炒め。
店の主人のお薦めの品。豚肉の美味さに感動。超強烈に美味い。
菜っ葉炒め。
また店の主人にお薦めの品を訊く。すると奥から虫食いだらけの菜っ葉を見せて、これでどう?という仕草をしている。虫が食っているということは危ない農薬は使っていない証拠、安心して頼む。文句なく美味い。
やはり、酔いが回るのが強烈に早い。この辺でお終いにする。
お店の人は、チベット族ではなく漢民族であろう。でもとっても親切でテレ屋。とても贅沢な時間を過ごせた。
ライトアップされたポタラ宮。不気味な印象。
ラサ4日目。
今日は海抜4,400mに位置するヤムドク湖に行く。途中、海抜4,750mのカンパラ峠で車から降りる。その僅かな動作だけで100m全力疾走した後のように息切れしてしまう。酸素量がラサ市街と全く違う。
ヤムドク湖。写真ではとても表現できない美しさ。天国に一番近い湖かもしれない。
湖畔を歩く。息切れする。向こう岸から小舟に乗った仏様のような少年がやって来て何か言っているが、さっぱりわからない。ツレの解釈:お小遣いくれ! 俺の解釈:天国に行かない? やはり脳に酸素が足りなようだ。
ラサ滞在中、カイラス山という到達困難なチベット仏教の聖地があることを知る。ラサからチャーター車で道なき道を進み片道1週間、日本から往復で1か月を要する旅程になるという。定年したら行ってみようとツレと話すが、その頃にそんな体力が残されているかは分からない。