すし匠へのアプローチ。リッツ カールトンのいかにも金を掛けていそうなエレベーターに乗り込み、すし匠玄関前の幻想的なプールサイドに着いた時、非日常の世界へ突入する。
I'm back. 戻って来たぜ。まさか半年で再訪するとは!体たらくには分不相応という指摘も結構。エンゲル係数80%生活はいつか破綻するという指摘も結構。他を犠牲にしてでも行く価値があると知ってしまったので仕方ない。
中澤大将は、寿司を通じて日本人の美意識、価値観、精神性といったものを表現する現代の華屋与兵衛。その偉大な大将から、お飲み物はどうされますか?と訊かれ、ハイボール!とは言い出しにくかったので、ウイスキーのソーダ割りで!とお願いした体たらく。スターターのワシントン州牡蠣の煮浸しが猛烈に美味くて早速唸り声をあげてしまう。
ハワイの伝統料理Pokeをも江戸前寿司の技術を使い再構築してしまうチャレンジスピリットに感服。
客層を観察する。定員は10席だけど、今日は11名。内訳は、おばちゃん8名、男は3名。おばちゃん強し。
隣のセレブ風おばちゃん3人組の真ん中は、某芸能人。そうか、この芸能人御一行様のおかげで今日は11名になったのか。
ハワイかアメリカ各地の素材を使い、江戸前寿司の技法を総動員して最高の寿司に仕立てる。日本から取り寄せているのは、鮪と海苔くらい。シャリはカリフォルニア米、山葵はオレゴン産、ガリはハワイの椰子の新芽で代用。日本の素材を輸入し、ハワイで握っているだけの寿司屋とは全く次元が異なるここでしか喰えない寿司。
日本人夫婦が造るハワイ産芋焼酎 波花。日本人の頑張りに感動して涙が出そう。
ハワイの深海魚ハプープは、しゃぶしゃぶして絶妙な温かさで。
地魚のオノは芸術的なフォルムの握りで。
ハワイの伝統料理ラウラウもすし匠風にアレンジ。
サンタバーバラ産ホワイトサーモンの舌触りと甘みに感動。
ロブスターの紹興酒漬けが出たところで、大将お任せのジャパンに移行。
オレが呑み喰いの場でこんなに緊張感を抱くのはすし匠だけ。
ダラダラ呑み喰いするのでは無く、真剣勝負。
それでいて、夢の中でフワフワ浮いている様な不思議な感覚。
このまま死んでもイイ。
見た目も美しいカニおぼろは、口に入れると一瞬で解ける。人生の輝きと儚さを表現。
ANAのCMで綾瀬はるかが目を見開いているフィンガーライムを乗せたオパ焼き。
ハワイの王族のみ喰うことが許された幻の高級魚、モイ。大将がセレブ芸能人に対し、力を込めて寿司の原点というべき技法、発酵を採用。という解説をするも、へ〜そうなんだ〜という気の抜けた反応。イヤな女だな。
チェリートマトのピクルス。
ハワイ産きゅうりの麹漬け。
ジャパンのピッチが上がる。
雲丹とホワイトサーモンの松前漬け。
熟成鮪。
茶碗蒸しは鮑、雲丹、キャビア乗せ。
名作、あん肝スイカ。
名作、おはぎ。
今日一番美味く感じたジャパンはコレ。梵。
ここからは、お好みタイム。
〆鯖。
チェリーストーンクラム。
濃い味が特徴の何とかサーモン。
熟成鰤。
鮪トロ炙り。鮪だけは日本(青森)から。
皇室にも納めている梵の超吟。
雲丹。
シャリチーズ。
サヨリ。
金目の皮炙り。
干瓢巻。
玉。
普通の人はここで終りなのだが、まだ呑み足りないので続ける。
ハワイ風カラスミ。ボラでは無く地魚の魚卵を使い、大根代わりのタロイモの皮で巻く。
たぶん、ロブスターの皮の紹興酒漬け?
最後に波花をすし匠仕様とオリジナル仕事で呑み比べ。
塩アイスでフィニッシュ。
〆て2人で、$880。高いか安いか?オレは安いと思う。誰にも真似出来ない仕事だから。猛烈に満足。
マリオットに戻って来た。リッツ カールトンの様な非日常の世界では無いけど、開放的な空間が心地良い。
すし匠の興奮から醒めない。ずっと醒めないままで良い。