アホ友と新宿三丁目の「どん底」へ。
どん底とは、夢や希望を持てない状況だとすれば、中年2人、いま正にどん底にいるのかもしれない。
昭和26年、芝居好きの青年が、戦後の焼跡に掘っ建て小屋の飲み屋を開く。
以来、三島由紀夫、黒澤明、石原慎太郎など多くの文化人に愛され、伝説の店になる。
ノスタルジックな店内。我々は3階一番奥の狭いカウンターに通される。
最初の一杯はサングリアを呑む。不味い。
次は名物のどん底カクテル、通称「どんカク」を呑む。
この雰囲気で歴史に思いを馳せながら呑むと味わい深いが、家で呑んだらきっと不味いと感じるだろう。
焼酎とウイスキーなどが混ざっているどんカクは、呑み過ぎると悪酔いするらしい。
芸術や文学を志す青年が、どんカク片手に夢を語りながら朝まで呑み明かす、そんな光景が目に浮かぶ。どんなに貧乏でも、未だ何も成し遂げていない半人前でも、夢や希望があるならば、その状況は決してどん底ではない。逆に、小金を持ち、そこそこの地位に辿り着いたけど、そこには自分の求めていたものは何も無く、登ったと思っていた場所が実はどん底だったと知る中年。そんな事を想いながら丁寧に作ってくれたモヒートを呑み干す。
食い物の感想。
牡蠣のオイル漬け。文句なく美味い。
自家製厚切りチャーシュー。普通。
マッシュルームのプランチャ。普通。
ミックスピザ。これは強烈に美味い!
この店に上手く順応できないアホ友が外に出たがり、1時間もせずに退散。他の店で呑み直した。