酔うことを目的としない。食事の友にすることも目的としない。純粋にアイラモルトのフレーバーを味わう黄昏時(曇っているけど)。アイラの女王と呼ばれるボウモア18年。初めて出会ったのは意外な場所だった。御宿の山の上にある伝説の居酒屋、舟勝。ここで大将からサービスでいただいたボウモア18年は、十四代で酔い始めていたオレの意識を一気にスコットランドのアイラ島に連れて行ってくれた。
潮の香りに満ちた蒸留所。
1779年に地元の商人だったデビッド・シンプソンが創業したアイラ最古の蒸溜所。ボウモア蒸溜所は、かもめが舞う浜辺に位置し、風が強い日にはまともに波しぶきを受け、蒸溜所内は潮の香りに満ちている。海の香りを呼吸しながら熟成されるアイラモルト・ボウモアは「アイラの女王」とも呼ばれる気品あふれるフレーバーを放っている。
氷を入れてはダメ、水や炭酸は論外、ストレート一択。アイラの女王のために用意したグラスは、グレンケアンのウイスキーテイスティンググラス。グラスを傾ける。突き抜けるピート。ずっと嗅いでいたい官能的なスメル。口に含む。18年の歳月で獲得した豊かな円み。永遠に続くと錯覚させるアフターテイスト。超猛烈に気持ちいい。
税込8,290円。