体たらく日記

呑、喰、旅。世のため人のためにならない体たらくの日記。

千葉 御宿 居酒屋「舟勝」 蟹こし汁

伝説の居酒屋、舟勝。最後に訪れてから4年と3ヶ月。

玄関のオーラは健在。f:id:teitarakuen:20190602102831j:plain

席に着くとお任せの品がどっと出て来る。コリコリの生しらす。獲って直ぐに魚体から塩を抜く仕事が冴える。筍の煮物。素材本来の味を引き出す仕事が冴える。ナガラミ。ウンコの苦味を優しくする仕事が冴える。蛤。口に入れると蛤の出汁が爆発する仕事が冴える。素材を生かすひと手間ふた手間、やり過ぎない、ちょいど良い塩梅が漁師料理の本質。酒はコップ一杯だけ連れのビールに付き合い、後はクールジャパン(=冷酒)。御宿の山の上の住宅街にぽつんとある居酒屋で希少な十四代 龍の落とし子を呑める幸せ。f:id:teitarakuen:20190602102826j:plain

平政、黄金鯵、喉黒、地蛸、槍烏賊、メバチマグロ、鮃の昆布〆の盛り。どれも強烈だけど、特に印象的だったのは、槍烏賊の甘さ。秘密は、3ヶ月間の氷温熟成。そして、黄金鯵。こんなに肉厚な鯵は初めて。次のクールジャパンは、十四代 本丸 秘伝玉返し。希少な十四代をジャブジャブ呑める幸せ。f:id:teitarakuen:20190602102821j:plain

飛魚の酢なめろう。旬の飛魚を使っているのが嬉しい。氷と酢に漬けて表面が白く変わったら食べ頃。異次元のモチモチ感がたまらない。f:id:teitarakuen:20190602102816j:plain

鰹のサラダ風。大根おろしポン酢とマヨが食欲をそそる。一気に完食。f:id:teitarakuen:20190602102812j:plain

稚鰤(ワラサ)の鰤大根。山椒の実が良い仕事していて臭みは皆無。次のクールジャパンは、飛露喜 特別純米。前回、舟勝を訪れた時は、日本酒の銘柄は全く知らなかったオレ。今回は冷蔵庫にある日本酒はほぼ全て知っていた。この4年で勉強。f:id:teitarakuen:20190602103110j:plain

インゲン豆と人参の天ぷら。野菜の甘さを教えてくれる。f:id:teitarakuen:20190602103105j:plain

サービスで戴いたブルーチーズとボウモア18年。ボウモアはスモーキーで円やか。角が取れて円やかになるためには18年もの歳月が必要なのか。余命18年もあるか微妙なオレとしては感慨深い。f:id:teitarakuen:20190602103100j:plain

かなり酔いが回ったところで、大将のワゴン車に乗り秘密の場所へ。街灯も無い真っ暗な田んぼで蛍が舞っている。蛍の成虫の寿命は僅か10日。人が成人してからの寿命を60年とすると、蛍の約2,200倍。逆に言うと、蛍は人と比べ2,200倍もの濃密な命を燃やしている。f:id:teitarakuen:20190602103054j:plain

戻って来ると、鮭おにぎりと蟹こし汁。最後のクールジャパンは、不老泉 備前雄町。f:id:teitarakuen:20190602103047j:plain

蟹こし汁とは、モズクガニを殻ごと潰してから煮て固形になったタンパク質を抽出する非常に手間のかかる料理。3回目の訪問で初めて喰うことができた。蟹の風味が最高。これで思い残すことは無い。f:id:teitarakuen:20190602103257j:plain

〆て2人で、1.3万円。蛍観賞、十四代、蟹こし汁を楽しめ超大満足。