体たらく日記

呑、喰、旅。世のため人のためにならない体たらくの日記。

東京 一之江 鮨「かの」 住宅街の江戸前鮨

川べりのバス停で降り、真っ暗な住宅街をグーグル頼りに歩くと、一軒の灯りが見えてきた。

店内も明るく綺麗。カウンターの端に座り、江戸川名産なので小松菜スカッシュから始める。青汁みたいに濃い緑色なのに、突き抜ける爽快さ。超強烈に美味い。直ぐに出てきたのは、イクラご飯。赤シャリだ。コレも超強烈に美味い。

青海苔の茶碗蒸しは、磯の香りを楽しむ。強烈に美味い。

鰆の藁燻り 玉ねぎポン酢。魚のポテンシャルを極限まで引き出す技が光る。猛烈に美味い。屋久島の芋焼酎 水の森で合わせる。

カンヌキ(大型サヨリ)は、田中農場の卵を使った卵黄醤油と唐墨擦り下ろしで。この変態的組み合わせは凄い。猛烈に美味い。

日本酒も良いモノが揃っている。冷酒で日高見 弥助、新政のラピスラベルの後、ぬる燗で遊穂と呑み進める。

塩〆の鮃も酒のアテに最高。超強烈に美味い。

握りスタート。鯵の塩〆から。浅葱に何かを混ぜている薬味が鯵の旨味を引き出してくれる。猛烈に美味い。

江戸前の仕事だ。

江戸前とは、シャリに合うように魚介を手当てする仕事。新鮮なネタをシャリに乗せるだけの海鮮鮨とは一線を画す。

今、東京では鮨バブルが起きている。

江戸前を謳う東京の高級店は、料理2万円〜、酒1万円、合計で1人3万円オーバー。こんなに高くても予約が全く取れない狂った状況。

鮨は喰いたい時に喰うから美味いのであって、何ヶ月も先の予約をするなんて馬鹿げている。

そんな先、どうなっているか分からないし、死んでいるかもしれないし。

この浅利の握りは俊逸。浅利とシャリの間に海苔を忍ばせている。海苔で磯の香りを上乗せしている感じ。甘いツメもたまらない。猛烈に美味い。

ここ「かの」は、高級店に引けを取らないしっかりした江戸前の仕事をしている。

高級店の様な圧倒的な素材力は無いけど、技術でカバー。

素材に金をかけ過ぎて高くなっても困るし。ちょうどいい塩梅。

予約も簡単に取れるし、ドレスコードも無いし、家からも比較的近いし、穴場だなぁ。

こういう穴場的な店を見つけちゃうオレは天才だなぁ。

誰かの紹介でも無いし、食べログの点数も良く無いけど、

見つけちゃうオレは凄いなぁ。

江戸前の華、小肌。塩がイイ仕事している。猛烈に美味い。

雲丹もしっかり美味いなぁ。

コレも江戸前の華、穴子は2種。1種目は山葵を忍ばせ、すだちをすり下ろし。穴子本来の味を楽しませる狙い。

2種目はツメをてっぺんに塗るのでは無く中に忍ばせ、先に穴子本来の味を出し、後からツメの甘味を出す狙い。良く考えているなぁ。かなりの変態だなぁ。

シジミ汁もこの世のモノとは思えない猛烈な美味さだ。

最後に干瓢巻きを出すあたりにも正統派江戸前鮨を感じる。

〆て1人で、1.6万円。イイ店見つけた。超大満足。