二日酔いの朝は、ラーメンから始めると。世界の一蘭本社ば表敬訪問したとよ。
一蘭と言えば味集中カウンターだけど、ここ本社本店には屋台風テーブル席もあるとよ。
豚骨ラーメン(890円)。
そん日の気分で味ば細かく調整しきるのが嬉しいばい。強烈に美味か。
キャナルシティーまで歩いたばい。中でお茶して身体ば温めたとよ。
博多ポートタワーに登ったばい。景色よか。降りると雪が降ってきたったい。
新幹線、在来線、フェリーと乗り継ぎ巌流島に上陸したとよ。ここから関門橋も良く見えると。しばらくしゅるとまた大雪になったばい。ばり寒いばい。
門司港ば散歩したとよ。雪は止んばってん寒か。そろそろ小倉に戻るばい。
博多弁で書くのは面倒なので、ここからは標準語で。
寿司を食べになぜ小倉まで来たのか?
九州前の寿司を食べる。そして、レジェンドに会うためだ。
九州前とは、素材の旨味を生かすため、仕上げに醤油では無くカボスや一味唐辛子を振りかけるスタイルのこと。素材がいいから江戸前のように仕事をし過ぎない。
そして、レジェンド。八十を超えてなお第一線で握り続けるのは、すきやばし次郎の小野次郎、小松弥助の森田一夫、そして、もり田の森田順夫。いつからか、その3人をレジェンドと呼ぶようになった。
店に入る。カウンター8席だけの小さな店。オレ達以外は既に着席済みで、一番奥の席に通される。この席の担当は2番手の弟子。レジェンドに握ってもらいたかったけど、まあ、仕方ない。
いつも通りハイボールから。お通しの鮟鱇の肝はとても上品な味。鮟肝と略したら叱られそうだ。ハイボールは一気に飲み干し、お任せで冷酒を頼む。萬代から始まり、五橋、三百年の掟やぶり、繁桝、鳥海山と続いた。日本酒の選定も完璧。
帆立炙りと雲丹。
仕事をし過ぎないのが九州前と聞いたけど、さりげなくしっかり仕事をしている。帆立は軽く炙り旨味を引き出し、カボスと一味唐辛子で仕上げる。
蛸の柔らか煮。
こんなに柔らかい煮蛸は初めて。さりげなくしっかり。
サヨリの昆布締め。
締めたりしないのが九州前かと思ったけど、さりげなくしっかり。
握りスタート。
テンポ良く出される。カボス、一味唐辛子、塩、胡麻を使って素材の旨味を最大限引き出す。ネタによっては醤油も使う。醤油を全く使わない訳ではない。オクラなんかを忍ばせるネタもあって面白い。2番手の握りの技術は完璧。3番手がレジェンドと2番手をしっかりフォローしているから炙りものは完璧な温度で出てくる。脇を締めるのはホールの女性陣。気が利いて丁寧な仕事。そして何よりレジェンドの人柄。すし匠の中澤親分をして「人格がそのまま寿司にあらわれているような握りです。だから、食べて心温まるし、幸せになれる」と、言わしめるほど。
焼き穴子。
〆て2人で、3.8万円。レジェンドに握ってもらえなかったけど幸せな時間だった。大満足。