体たらく日記

呑、喰、旅。世のため人のためにならない体たらくの日記。

東京 新小岩「わいん食堂 chez とし」で念願のKUSUDA WINEを飲んだ

今日は、ずっと想い続けてきた楠田ワインを飲みにとしへ。

年始に、としのご主人に楠田ワインの存在を教えて戴き、それ以来ずっと頭から離れなかった。脱サラした日本人がニュージーランドで作るワイン。そのキーワードが自分の琴線に触れ、楠田さんについて調べ始めると、案の定、ドラマチックなストーリーが待っていた。

慶大卒業後、富士通に就職。その後、外務省の職員として在シドニー日本国総領事館に勤めていた楠田さんは、30歳を過ぎた頃、ワイン造りを決意し、ぶどう栽培とワイン醸造を学ぶため、留学する。「組織から離れ、自分の実力だけで世の中にどれだけ通用するのか、人生を賭けてチャレンジしてみたくなった」と言う。

英語ができる楠田さんは、敢えて英語圏の大学を選ばず、ドイツのガイゼンハイム大学に留学する。ドイツ語は、一から勉強し、僅か半年でマスターする。

卒業後、日本に帰らずニュージーランドへ移住する。

ワイナリーで経験を積んでから独立するという道は選ばず、畑を借り自分でワイン造りを始める。

ピノ・ノワール種を選んだ理由はとてもシンプル。「難しい」から。

2004年3月に初ヴィンテージ2002をリリースするが、振り返れば8年間も無収入だった。

極上のワインを造り出す秘訣は、妥協の無い徹底した選果作業。通常の10倍もの手間がかかる日本人ならではの繊細な作業は、現地で『ボンサイ・ピッキング』と呼ばれているとか。

そんな並外れた努力が実を結ぶ。ピノ・ノワール種の赤ワインは、08年にロンドンであった世界最大のワインコンテストで金賞を受賞。シラー種の赤ワインは、JALの国際線ファーストクラスで提供されるなど、世界で高い評価を得る。

常に困難な道を選択してきた楠田さんの生き方には、誰もが感銘を受けることだろう。


さて、今日戴く楠田ワインは、2012 Kusuda Wines Pinot Noir, Martinborough。生産数僅か4,234本、予約開始と同時に売り切れとなったらしい。そんな希少価値の高いワインを年始からひたすら想い続け、ようやく飲む時が来た。

まず、香りを楽しむ。とても澄んだ良い香りがする。
口に含んでみる。円やかさと若さが交互に顔を出してくる。初めて経験する味だ。難しい事は分からないが、率直に言って文句無く美味い。楠田さんのストーリーを感じながら飲むのも楽しい。

そんな極上ワインの友は、

生ハムプロシュート。
さざなみ切りされている。いつも違う食感が味わえる。

ズワイガニとアボカドのサラダ仕立て。
いつもながら強烈に美味い。

ハンガリー産合鴨ロースステーキ。
鶏肉とは違う赤身を味わうため選んだのが正解。赤ワインと合う。下に敷かれたワイルドライスのリゾット風も強烈に美味い。

カラスミとちりめんじゃこのパスタ。
カラスミがザクザク入っている贅沢な品。猛烈に美味い。

今日も大満足。